男の子の誕生を祝い、健やかな成長を願って飾る五月人形。いざ選ぼうとすると、「兜だけでいいの? 鎧も必要?」「武者人形とは何が違うの?」「兜の前の角のような飾りは何という名前?」と、疑問がわいてくる方が多いのではないでしょうか。
とくに最近は、マンションやアパートにお住まいで、限られたスペースに何をどう飾ればよいか迷う方も少なくありません。この記事では、五月人形の種類や飾り方の違い、兜の各部位の名前と意味まで、五月人形選びに必要な基礎知識を順にご紹介します。
五月人形とは何ですか?
五月人形とは、端午の節句(5月5日)に、男の子の健やかな成長と健康を願って飾る人形・飾りの総称です。兜飾り・鎧飾り・武者人形(子供大将)などの種類があります。
兜や鎧はもともと武士が身を守る武具でした。その武具に「子どもを災いから守ってほしい」という親の願いが重ねられ、端午の節句に飾る習わしとして広まりました。
いまどきの五月人形は、どんなものが選ばれていますか?
近年は、住まいに無理なく飾れるコンパクトな五月人形が主流です。子育て世帯を対象にした2025年の調査では、端午の節句に五月人形を飾る家庭は約8割(79.5%)にのぼり、サイズは横幅1mまでのものを選ぶ家庭が約9割(95.3%)を占めました。一方で「飾る場所や収納スペースが確保できない」ことが、購入をためらう一番の理由にもなっています。
五月人形の価格帯はさまざまで、数万円のものから、本格的な甲冑では数百万円に及ぶものまで幅があります。価格を左右するのは、主に作りです。職人が金属板をはぎ合わせて鉢から仕立てるのか、縅糸に絹を使うのか、細工の一つひとつを手仕事で施すのか――日本製で本格的な作りを求めるほど、手間の分だけ価格は上がります。長く毎年飾るものだからこそ、価格だけでなく、何がその価格を支えているのかにも目を向けて選ぶのがおすすめです。
つまり五月人形選びは、「暮らしにちょうどよく収まるか」と「納得できる作りか」の両方が大切なポイントになっているのです。
出典:いこーよファミリーラボ「こどもの日調査」(2025年3月/全国317サンプル)
https://iko-yo.net/articles/16512
五月人形にはどんな種類がありますか?
五月人形には、大きく分けて「兜飾り」「鎧飾り」「武者人形(子供大将)」の三つの種類があります。それぞれ見た目も、飾るのに必要なスペースも異なります。
【兜飾り(かぶとかざり)】
兜だけを飾るタイプで、五月人形のなかで最も種類が多く、人気の高い飾り方です。鎧一式に比べてコンパクトで、リビングボードや玄関の飾り棚にも置けるサイズ感が、長く愛されている理由です。兜には、子どもの頭を守る武具として「災いから我が子を守ってほしい」という願いが込められています。
【鎧飾り(よろいかざり)】
兜に加えて、胴や袖などの鎧一式をそろえて飾るタイプです。全身の武具がそろうため重厚で存在感があり、格式を重んじる方に選ばれます。ただしその分、飾るスペースも収納場所も大きく必要になります。
【武者人形・子供大将(むしゃにんぎょう・こどもたいしょう)】
鎧をまとった子どもの姿をかたどった人形です。凛々しい兜や鎧の力強さに、子どもらしいあどけない表情が重なり、やわらかく愛らしい印象になります。「健やかに育った我が子の姿」を重ねて飾れるのが魅力です。
すずなりでは、暮らしになじむ兜飾りと、表情のやさしい子供大将をご用意しています。鎧一式の飾りはお取り扱いがありませんが、その分、現代の住まいにちょうどよいサイズと色合いに絞ってお選びいただけます。
五月人形の飾り方にはどんな種類がありますか?
同じ兜飾りでも、台や収納のしかたによって「平飾り」「収納飾り」「ケース飾り」などのタイプに分かれます。住まいや収納事情に合わせて選びましょう。
【平飾り(ひらかざり)】
一段の台の上に、兜や脇飾りを並べて飾るシンプルなタイプです。すっきりとした見た目で、飾る場所を選びません。屏風や飾り台、脇飾りを組み合わせて、お好みの一飾りをつくれるのも特長です。
【収納飾り(しゅうのうかざり)】
飾り台がそのまま収納箱を兼ねるタイプです。兜や道具を台の中にしまえるので、オフシーズンの収納がひとつにまとまります。「飾りたいけれど、しまう場所に困る」という悩みにこたえてくれる飾り方です。
【ケース飾り】
兜をガラスやアクリルのケースに納めて飾るタイプです。ほこりがつきにくく、小さなお子さまやペットのいるご家庭でも安心して飾れます。ただし兜や道具がケースに固定されているものは、作りが簡略なものもあるため、中身をよく確かめてお選びください。
兜の各部にはどんな名前と意味がありますか?
兜は、鍬形・鉢・吹返し・錣(しころ)などの部位で構成され、一つひとつに子どもを守る役割と願いが込められています。名前と意味を知っておくと、作りの違いが見えやすくなります。
【鍬形(くわがた)】
兜の正面に、角のように左右へ立ち上がる金具です。その形が植物の「クワイ」の葉に似ていることから、この名がついたといわれています。兜の印象を大きく左右する、もっとも目を引く飾りです。
【鍬形台(くわがただい)】
鍬形を差し込んで支える台座の部分です。ここの細工や色味も、兜全体の格を左右します。
【眉庇(まびさし)】
額の上に庇(ひさし)のように張り出した部分です。もとは日差しや、刀・矢から額を守るための備えでした。今でいう帽子のつばのような役割です。
【鉢(はち)】
頭をすっぽり覆う、兜の本体部分です。何枚もの金属板をはぎ合わせて作る作りを「合せ鉢(あわせばち)」と呼びます。手間のかかる伝統的な技法で、兜の表情を決める大切な部分です。
【吹返し(ふきかえし)】
兜の左右で、外側へ反り返っている部分です。もとは顔のわきを刀や矢から守るためのものでしたが、同時に、甲冑師が細工の技を見せる場所でもありました。
【錣(しころ)】
兜の後ろから首筋にかけて、すそのように垂れている部分です。首を守る役割があり、「小札(こざね)」と呼ばれる小さな板を「縅糸(おどしいと)」で一枚ずつつなぎ合わせて作られます。この縅糸の色が、兜全体の印象を決める大きな要素になります。
【忍緒(しのびお)】
兜を頭に固定するための紐です。「総角結び(あげまきむすび)」などさまざまな結び方があり、結び目の美しさも見どころです。
【芯木(しんぎ)・袱紗(ふくさ)】
芯木は、飾るときに兜を支える芯となる木のことです。その芯木にかける布を「袱紗(ふくさ)」といいます。袱紗の色を変えるだけで、兜まわりの雰囲気はやわらかく変わります。
【櫃(ひつ)・収納飾台(しゅうのうかざりだい)】
櫃は、兜をのせて飾る脚付きの箱で、伝統的な飾り台のひとつです。一方すずなりでは、兜やまわりの飾りを中にしまえる「収納飾台」をご用意しています。飾るときは台として兜を引き立て、しまうときは収納箱として使えるので、オフシーズンの片付けがひとつにまとまります。
すずなりの兜は、いずれも金属板をはぎ合わせる「合せ鉢」で仕立て、錣の縅糸にはすべて絹糸を用いています。鉢や小札の色、縅糸の色合いの違いで、全8種類それぞれに異なる表情を持たせています。
脇飾り・御道具にはどんなものがありますか?
兜のまわりに添える「脇飾り」や「御道具」には、弓太刀・鯉のぼり飾り・菖蒲飾り・かがり火などがあり、それぞれ端午の節句らしい意味を持っています。
- 弓太刀(ゆみたち)…兜の左右に飾る弓と太刀。魔を払い、兜を守る意味があります。
- 鯉のぼり飾り…鯉が急流をのぼって龍になるという言い伝えにちなみ、立身出世を願うしるしです。室内に飾れるコンパクトなものもあります。
- 菖蒲(しょうぶ)・あやめ飾り…端午の節句に欠かせない、邪気を払うとされる植物。飾りに季節の彩りを添えます。
- かがり火…三本脚の鉄の籠で火を焚いた、夜の警護に用いた灯りの道具です。雛人形のぼんぼりと同じ役割を持ち、主に武者人形(子供大将)に合わせて飾ります。
行事食にも縁起が込められています。柏餅は、新芽が育つまで古い葉が落ちない柏にちなんで「家系が続く」縁起もの。粽(ちまき)は、災いを避けるいわれを持つ、端午の節句の伝統的な食べものです。
なぜ五月人形を飾るのですか?
五月人形を飾るのは、兜や鎧が、子どもの身代わりとなって災いを引き受ける「お守り」だからです。「我が子が健やかに、強く育ってほしい」という親の願いを形にしたものが、五月人形です。
もともと武士の武具だった兜や鎧に、時代とともに子どもを守る祈りが重ねられ、端午の節句に飾る習わしが広まりました。だからこそ、子ども一人ひとりに、その子のための一飾りを用意します。生まれてきた子の幸せを願う、家族の気持ちそのものが、五月人形なのです。
まとめ
五月人形には、兜飾り・鎧飾り・武者人形(子供大将)という種類があり、飾り方も平飾り・収納飾り・ケース飾りとさまざまです。兜の鍬形や錣、脇飾りの一つひとつにまで、子どもの成長を願う意味が込められています。種類と名前を知ることで、ご家庭の住まいや暮らしに合った一飾りを、納得して選んでいただけます。
すずなりでは、現代の住まいになじむ、コンパクトでおしゃれな兜飾りを全8種類、表情のやさしい子供大将を全5種類ご用意しています。兜の縅糸にはすべて絹糸を使い、鉢から仕立てる伝統の作りを守っています。さらに、屏風・飾り台・脇飾り・お花を自由に組み合わせていただけるので、お部屋にぴったりの、世界にひとつの五月飾りをお仕立ていただけます。
よくあるご質問(FAQ)
Q. 五月人形とは何ですか?
A. 五月人形とは、端午の節句(5月5日)に、男の子の健やかな成長を願って飾る人形・飾りの総称です。兜飾り・鎧飾り・武者人形(子供大将)などの種類があります。
Q. 五月人形にはどんな種類がありますか?
A. 大きく分けて「兜飾り」「鎧飾り」「武者人形(子供大将)」の三つがあります。兜飾りは兜だけを飾るコンパクトなタイプ、鎧飾りは鎧一式をそろえる重厚なタイプ、武者人形は鎧を着た子どもの姿をかたどった人形です。
Q. 兜飾りと鎧飾りの違いは何ですか?
A. 兜飾りは兜だけを飾るタイプで、コンパクトに飾れます。鎧飾りは兜に加えて胴や袖などの鎧一式をそろえるタイプで、重厚ですが飾る場所と収納場所が大きく必要です。
Q. 武者人形(子供大将)とは何ですか?
A. 鎧をまとった子どもの姿をかたどった人形です。武具の力強さと、子どもらしい愛らしい表情をあわせ持ち、「健やかに育った我が子の姿」を重ねて飾れるのが魅力です。
Q. 五月人形の価格はどのくらいですか?
A. 五月人形の価格帯は幅広く、数万円のものから、本格的な甲冑では数百万円に及ぶものまでさまざまです。価格は主に作りで決まり、職人が鉢から仕立てる兜や、縅糸に絹を使った本格的な日本製のものほど高くなります。サイズの大小よりも、作りの確かさが価格の目安になります。
Q. 兜の鍬形(くわがた)とは何ですか?
A. 兜の正面に、角のように左右へ立ち上がる金具のことです。形が植物の「クワイ」の葉に似ていることから名づけられたといわれ、兜の印象を大きく左右する飾りです。
Q. なぜ五月人形を飾るのですか?
A. 兜や鎧が、子どもの身代わりとなって災いを引き受ける「お守り」とされているためです。子どもの健やかな成長と健康を願う、家族の祈りが込められています。
Q. 五月人形はコンパクトなものでも大丈夫ですか?
A. はい、大丈夫です。2025年の調査では横幅1mまでのコンパクトな五月人形を選ぶ家庭が約9割を占めており、住まいになじむサイズが主流です。大切なのは大きさよりも、子どもの成長を願う気持ちです。