「うちの子は今年、七五三なのかしら」「数え年と満年齢、どちらで祝えばいいの」——秋が近づくと、こうした疑問をお持ちになる方が増えてきます。
きょうだいで年齢が近ければ「一緒にお祝いしてもいいの」と迷いますし、11月15日が平日なら「その日に行かないといけないの」とも思われるでしょう。
この記事では、七五三の意味と由来、なぜ3歳・5歳・7歳なのかという理由、2026年に対象となるお子さまの生まれ年、お参りの時期や服装、そして千歳飴に込められた願いまでをご紹介します。
浅草橋で節句人形をお作りしてきた立場から、初節句から七五三へと続くお祝いのつながりについても、最後に少し触れさせていただきます。
七五三とは、何をお祝いする行事ですか?
七五三は、子どもがここまで無事に育ったことへの感謝を伝え、これからの健やかな成長を願って神社にお参りする行事です。3歳・5歳・7歳という節目の年に、晴れ着を着て氏神さまにご報告します。
昔は乳幼児の死亡率が高く、「七つまでは神のうち」という言葉があったほど、子どもが無事に育つことは当たり前ではありませんでした。無事に育った節目ごとに神さまへ感謝を伝え、これからの加護を願う。それが七五三の原点です。
現代では医療が発達し、そうした切実さは薄れました。それでも「無事に育ってくれてありがとう」という気持ちは、今も昔も変わりません。
なぜ3歳・5歳・7歳なのですか?
もともとはそれぞれ別々に行われていた3つの儀式が、明治以降にひとつにまとまったものだからです。「髪置」「袴着」「帯解」という、平安時代からの通過儀礼がもとになっています。
また、日本では古くから奇数を縁起のよい数とする考え方があり、3・5・7という並びが選ばれたともいわれます。
【三歳|髪置(かみおき)】男女
当時は、赤ちゃんの髪を清潔に保つために剃り上げておく習慣がありました。3歳になると剃るのをやめ、髪を伸ばし始めます。その節目の儀式が「髪置」です。
白髪に見立てた綿の帽子をかぶせ、白髪になるまで長生きするようにと願ったと伝えられています。男女どちらも対象です。
【五歳|袴着(はかまぎ)】男の子
男の子が初めて袴を身につける儀式で、「着袴(ちゃっこ)」とも呼ばれます。碁盤の上に立たせて袴をつけさせる作法が知られており、これは「勝負に勝つ」「一人前の男子として世に立つ」という意味を込めたものです。
男の子が社会の一員として認められる、その第一歩とされました。
【七歳|帯解(おびとき)】女の子
それまで着物を留めていた付け紐を外し、大人と同じ帯を締めるようになる儀式です。「紐落とし(ひもおとし)」とも呼ばれます。
子ども用の簡易な装いを卒業し、一人の女性としての第一歩を踏み出す。そんな意味を持つ節目でした。
なぜ11月15日なのですか?
由来には諸説あり、確定した一つの理由があるわけではありません。よく挙げられるのは次の3つです。
ひとつは、江戸幕府五代将軍・徳川綱吉が、病弱だった長男・徳松の健康を願う祈願を旧暦11月15日に行ったという説。これが武家に広まり、やがて庶民へと伝わったといわれます。
ふたつめは、旧暦11月15日が「鬼宿日(きしゅくにち)」にあたるという説。鬼が宿にこもって出歩かない日とされ、婚礼以外のことには吉とされた日でした。
みっつめは、旧暦の11月が収穫を終えて神さまに感謝を捧げる月であり、その満月にあたる15日に、あわせて子どもの成長も報告したという説です。
なお、現在の「七五三」という呼び方が定着し、全国的な行事として広まったのは明治時代以降のことです。今のようにお参りと記念撮影をセットで行う形は、大正から昭和にかけて広まりました。
2026年の七五三は、何年生まれのお子さまが対象ですか?
数え年で祝うか満年齢で祝うかによって、対象となる生まれ年が1年ずれます。下の表でご確認ください。
| お祝い | 対象 | 数え年で祝う場合 | 満年齢で祝う場合 |
|---|---|---|---|
| 三歳 | 男の子・女の子 | 2024年生まれ | 2023年生まれ |
| 五歳 | 男の子 | 2022年生まれ | 2021年生まれ |
| 七歳 | 女の子 | 2020年生まれ | 2019年生まれ |
なお、地域によっては三歳を男の子も女の子もお祝いするところ、女の子だけのところがあります。五歳を女の子もお祝いする地域もあります。お住まいの土地の習わしがあれば、そちらを優先なさってください。
数え年と満年齢、どちらで祝えばよいですか?
どちらでも構いません。現在は満年齢でお祝いするご家庭のほうが多くなっています。
数え年とは、生まれた時点を1歳とし、元日を迎えるごとに1つ年を重ねる数え方です。昔はこちらが一般的でしたが、現在の暮らしでは満年齢のほうがなじみがあります。
とくに三歳のお祝いは、数え年だと実際にはまだ2歳。慣れない着物を着て長時間じっとしているのは、お子さまにとってなかなか大変です。「満年齢を待ってからのほうが、本人も落ち着いて過ごせた」というお声はよく耳にします。
きょうだいがいらっしゃる場合は、上のお子さまを満年齢、下のお子さまを数え年に合わせて同じ年にまとめてお祝いする、という方法もよく取られます。ご家族の都合に合わせて決めていただいて問題ありません。
お参りは、いつ行けばよいですか?
11月15日にこだわる必要はありません。現在は10月中旬から11月下旬にかけて、都合のよい日を選ばれる方がほとんどです。
2026年の11月15日は日曜日にあたるため、当日は各地の神社が大変混み合うことが予想されます。小さなお子さま連れで長く待つのは負担が大きいので、前後の週末や、平日にずらすという選択も現実的です。
気候のよい10月や、11月末の空いた時期を選ぶご家庭も増えています。写真撮影だけを春や夏のうちに済ませておく「前撮り」も、すっかり一般的になりました。
ご祈祷を希望される場合は、初穂料(はつほりょう)を納めます。5,000円から10,000円ほどが目安ですが、神社によって金額が定められていることもあるため、事前にお問い合わせになると安心です。
七五三には、どんな服装をさせますか?
年齢ごとに、由来となった儀式にちなんだ装いがあります。
三歳は、着物の上から「被布(ひふ)」というベストのような上着を重ねます。帯を締めないため締めつけが少なく、小さなお子さまでも過ごしやすい装いです。
五歳の男の子は、羽織と袴。「袴着」の儀式にちなんだ、凛々しい装いです。
七歳の女の子は、「四つ身」と呼ばれる大人と同じ仕立ての着物に、帯を締めます。「帯解」の儀式そのものを表す装いで、ぐっと大人びて見えます。
洋装でお参りされるご家庭も少なくありません。ワンピースやスーツでも失礼にはあたりませんので、お子さまの過ごしやすさを優先していただければと思います。
七五三の費用は、誰が負担するものですか?
決まりはありません。かつては晴れ着を母方の実家が用意する習わしがありましたが、現在はご両親が負担されるご家庭が最も多く、祖父母がお祝い金という形で援助されることもあります。
これは雛人形や五月人形とよく似た構造です。昔は「嫁いだ娘の顔を見に行く口実」という背景から母方が贈る習わしがありましたが、住まいも家族のかたちも変わった今、両家で分担されたり、ご両親がご自身で選ばれたりと、その形はさまざまになっています。
大切なのは、どちらが出すかよりも、お祝いの気持ちを両家で気持ちよく分かち合えることです。この点は「雛人形は誰が買う?」でもくわしくご紹介しています。
千歳飴には、どんな意味がありますか?
細く長い形と紅白の色に、「千年」つまり長寿への願いが込められています。粘り強く伸びる飴は、健やかに長く生きることの象徴とされてきました。
起源には諸説ありますが、江戸時代に浅草の飴売りが売り出したという説がよく知られています。袋には鶴亀や松竹梅といった縁起物が描かれ、袋ごと縁起をかつぐ品となっています。
浅草橋で人形をお作りしている私どもにとっても、この土地に伝わる話として親しみのある一節です。
初節句から七五三へ、お祝いはどうつながっていますか?
どちらも「子どもが無事に育ちますように」という同じ願いから生まれた行事です。生まれて初めての節句にお人形を飾り、3歳・5歳・7歳の節目に神社へお参りする。願いの向け先が、家の中から社へと移っていくだけで、根にある気持ちは変わりません。
雛人形も五月人形も、もとは子どもの身に降りかかる災いを引き受ける「身代わり」でした。七五三が「ここまで無事に育ちました」と報告する行事であるなら、節句人形はその歳月をずっとそばで見守ってきた存在ということになります。
節句という行事全体の成り立ちについては、「節句とは何をする日?」でご紹介しています。
七五三の記念写真を、雛人形や五月人形と一緒に撮られるご家庭もあります。初節句のときの写真と並べてみると、その子がどれだけ大きくなったかが一目でわかります。お人形は変わらないぶん、成長がくっきりと浮かび上がるのです。
すでにお持ちのお人形があれば、ぜひ七五三の日にも出してあげてください。しまい込んでおくよりも、節目のたびに飾っていただくほうが、お人形にとっても幸せなことだと思っています。
よくあるご質問
2026年の七五三は、何年生まれの子どもが対象ですか?
満年齢でお祝いする場合、三歳は2023年生まれ、五歳は2021年生まれ、七歳は2019年生まれのお子さまが対象です。数え年でお祝いする場合は、それぞれ1年ずれて三歳が2024年生まれ、五歳が2022年生まれ、七歳が2020年生まれとなります。
七五三は数え年と満年齢、どちらで祝うのが正しいですか?
どちらでも正しく、決まりはありません。現在は満年齢でお祝いするご家庭が多くなっています。とくに三歳のお祝いは、数え年だと実際にはまだ2歳のため、満年齢を待ってからのほうがお子さまの負担が少なく済みます。きょうだいがいる場合は、年齢を合わせて同じ年にまとめてお祝いすることもできます。
七五三は必ず11月15日にお参りしなければなりませんか?
その日でなければならないという決まりはありません。現在は10月中旬から11月下旬のあいだで、ご家族の都合のよい日を選ばれるのが一般的です。2026年の11月15日は日曜日にあたり神社の混雑が予想されるため、前後の週末や平日にずらす方も多くいらっしゃいます。
三歳の七五三は、男の子もお祝いしますか?
三歳の由来となった「髪置」の儀式は男女どちらも対象でしたので、男の子もお祝いします。ただし地域によっては三歳を女の子だけとする習わしもあります。お住まいの土地やご家庭に伝わるやり方があれば、そちらを優先なさってください。
七五三の初穂料はいくら包めばよいですか?
5,000円から10,000円ほどが目安です。ただし神社によって金額が定められている場合や、きょうだい二人分の扱いが異なる場合もありますので、お参りされる神社に事前にお問い合わせいただくのが確実です。
千歳飴にはどんな意味がありますか?
細く長い形と紅白の色に、千年の長寿を願う意味が込められています。粘り強く伸びる飴が、健やかに長く生きることの象徴とされてきました。起源には諸説ありますが、江戸時代に浅草の飴売りが売り出したという説がよく知られています。
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